日本最大の美術館である東京都現代美術館を建築した株式会社竹中工務店に依頼し、コンパクトな建物ではあるものの景観との調和を実現した美しい建物となっています。
当美術館は彫刻家、田辺光彰自身の作品及び、その制作に大きな影響を与えた収集資料を常設展示しております。
田辺は30年に亘り"農"をテーマとして、とくに現代彫刻による野生稲(稲の原種、日本にない)自生地保全プロジェクトを制作のモチーフにすえ、作品はアジアの稲作地帯、国際的農業研究施設、各国の国立研究所、美術館、博物館、国連機関に収蔵展示されています。
また、国際的に活動を続ける中で、世界遺産として認定されたフィリピン、ルソン島の棚田に関連した神具や農具を数多く収集し、近年静岡登呂遺跡博物館、秋田県立博物館では企画展(主催展)としてそれらのコレクションを用い開催しています。
田辺光彰 オフィシャルウェブサイト
美術館外観
田辺光彰 経歴
1939年 | 神奈川県に生まれる |
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1961年 | 多摩美術大学彫刻家を卒業 |
1962年 | アメリカの彫刻家イサム・ノグチと出会い強く衝撃を受け、以後交流が続く |
1979年 | 第1回ヘンリー・ムーア大賞展(箱根・彫刻の森美術館)で「混在(あ)」によりジャコモ・マンズー特別優秀賞受賞 |
1982~83年 | 佐久市立近代美術館前庭に高さ40mの「さく」を制作 |
1985~87年 | 長さ1㎞の横浜港突堤に3部作から成る「遥かなるもの・横浜」の構想を立て第一部作「貝」第二部作「花壇」を制作 |
1986~87年 | ソウルオリンピック関連事業として、韓国国立現代美術館に外国人6人の一人として選ばれ、「SEOUL・籾・熱伝導」を制作 |
1987年 | 稲に関する文献の中で野生稲に注目する |
1992年 | 個展(ギャラリーせいほう、秀友画廊・東京)田辺の提案で、農学者・佐藤洋一郎氏と野生稲自生地保全の運動を始める |
1994年 | 国際稲研究所に招聘され「MOMI-1994 野生稲の発芽」を制作 「THE SHIMIZUと田辺光彰の世界」展(フェルケール博物館静岡)が開催される JAPAN IRRI DAY(日経ホール)に野生稲をテーマとした作品を展示する 中国・河姆遺跡博物館に「MOMI-(6)1992」が収蔵、展示される タイ王室に「MOMI-(7)1992」及びドローイング(長さ9m)が収蔵される タイ王室による「野生稲保存プロジェクト」(in situconservation)が発足、それに参加する |
1997年 | タイ国国立PATHUM THANI Rice Research Center(DOA)に長さ33mの 「MOMI-1997(WILDRICE)」を制作 青森・五戸大地に「原農耕園」を制作 |
2002年 | インド国立Central Rice Research Institute(CRRI)に「MOMI-2000」を制作 国際野生稲会議(カトマンズ)に招聘され、野生稲自生地保全をテーマとした作品を展示する(作品の中に出席者全員が署名する) 横浜市立下田小学校に「MEKONG RIVER」を制作 静岡大学に3部から成る「UNIVERSITY」の構想を立て第一部作「野生稲」第二部作「生物多様性」を制作 |
2006年 | Adelaide Festivalに「MOMI-2006」を出展 (The Multicultural Arts Center・オーストラリア) オーストラリア・Mareeva Wetlandに「爬虫類・MOMI-2006」を制作 |
2008年 | 国連・FAO(ローマ)に「A Seed of Wild Rice・ MOMI-2008」を制作 |
2009年 | 北極・スヴァールバル全地球種子庫に「THE Seed 2009-IN ITUCO-NSERVATION」を制作 |
2013年 | フランス、モンペリエのBioversity Internationalに「A SEED OF WILD BANANA」を制作 |
2015年 | 3月30日、逝去(享年76歳) |
当館所蔵作品
「MOMI-2002 野生稲の発芽」
ブランクーシ奨励賞受賞作品
「MOMI-1992」
「漂う籾」(写真は他美術館所蔵時)
「豆・無限」(写真は他美術館所蔵時)
国内外所蔵作品
「さく」長野県佐久市立近代美術館蔵
「遥かなるもの・横浜(貝)」
横浜港シンボルタワー
「MOMI 1997(WILD RICE)-IN SITU CONSERVATION」タイ国立パトム・タニ稲研究所
「KADIMAKARA」
(爬虫類・MOMI-2006)オーストラリア
マリーバ・ウェットランド
フィリピンルソン島の神具農具コレクション
稲作地で初めての世界遺産となったフィリピンルソン島バナウエ 通称「天国への階段」